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リライト⑤~世界の話~ [リライト]


今回は前回の予告通り、なぜパラドックスが起きるはずのないリライトの世界でパラドックスが起きたかについて考えていきます。

この記事は個人的な考えをつらつらと書いていきます。

参考程度にご覧ください。



目次です。


1・作中での理由

2・遷移する世界

3・遷移の始まり







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1・作中での理由


前回の記事で、「起きるはずのないパラドックスが起きる理由は作中では書かれていない」と述べましたが、実は書いてあります


茂の演説のシーンにおいて、保彦がクラスメート全員に同じ物語を体験させても小説が書かれない可能性がある、といった話をしている場面です。

茂曰く、悠久の歴史から見ればほんの一瞬の21日間にアホほど時空をかき乱しているせいで、何らかの異常が起こっても不思議じゃない、パラドックスの1つや2つ起こってもおかしくない、とのことです。


もし著者の口から「これがパラドックスが起きた理由です」と直接言われたらそれで終わりです。



しかし、もしこれが理由なら多世界解釈ではない世界でパラドックスを引き起こす手段が増えたことになります。

短期間で何回もタイムリープを行い、時空をかき乱すという手段です。



そういう設定、と言われたらそれでおしまいですし、実際に多世界解釈ではない世界で時空をかき乱すこともできないので何とも言えません。

読者の中にタイムリーパーがいらっしゃいましたら、ぜひ試してみてください。

リライトという作品だけに適用される例外的な手段かもしれません。


私は上記以外の理由を考察してみましたが、やはりそれも例外的な手段になってしまいます。

それでも、できるだけ世界観に沿った考え方を心がけました。




2・遷移する世界


まず、リライトの世界は3つに分けることができると考えました。



その3つとは


リライト前

リライト中

リライト後


です。


リライト前の世界とは、保彦と夏の物語を体験し、薬を飲んで10年後へとタイムリープした後、10年後に10年前の自分が来る世界のことです。


リライト中の世界とは、まさに小説の2002年の章に当たる世界のことです。


リライト後の世界とは、小説の最後の1ページで友恵が薬を飲んでタイムリープした後の世界のことです。



(何度も言いますが、個人的な考察です)



リライト前の世界については林鈴子の主観のときに記述があるのでこれは事実だと思われます。

そして作中の2002年の章を経て、友恵が薬を飲んで過去へタイムリープした後、友恵以外のクラスメートの記憶は完全に書き直され(リライトされ)、作中とはまったく別の世界ができます。

これがリライト後の世界だと考えています。


リライト後の世界は完全に友恵だけの世界となります。

「時を翔ける少女」を手に保彦を脅してクラスメートの記憶をすべて改竄し、保彦を夫にします。

クラスメートは保彦が未来人であるということも知らずに夏休み後も共に過ごします。

もちろん未来にタイムリープすることもありません。



要はリライト中の世界は


リライト前の世界と、リライト後の世界が混在している状態


である、というのが私の主張です。



少し詳しく説明するとリライト中の世界は、記憶はリライト前の世界で現実はリライト後の世界だと考えています。


例を出します。


リライト前の世界では

未来人保彦と出会う→夏の物語を体験する→タイムリープする→保彦が未来に帰る→2002年において過去の自分が携帯電話を取りにくる



リライト後の世界では

未来人とは知らないが保彦と出会う→(タイムリープしない)→保彦は夏休み後もクラスに居続ける→2002年において桜井や長谷川の葬式に参列する



これがおおまかな事実です。



こう見てみると、リライト前の世界についてはクラスメートの記憶や林鈴子主観の章で「ここまでがリライト前の物語」と書かれていることと一致するので、事実であると判断できます



さらに、リライト後の世界については2002年における卒業アルバムに保彦が写っていたり、クラスメートの死について美雪の母親が知っている点などからこれも事実であると判断できます。


どちらも作中で述べられています。

作中で書かれている物語は、この2つの世界で起こった事実が混在しているために作品として深みが出ているのだと思います。



また、リライト前とリライト後の世界は安定しており、リライト中の世界は不安定であると考えています。

簡単な例を示すと、安定して立っているペンに対し、外力を加えるとグラグラと揺れだして不安定になり、最終的に倒れます。

立っている状態と倒れている状態は安定していますが、グラグラと揺れているときや倒れている瞬間は不安定です。



作中でパラドックスが起こる理由の1つとして私が考えたのは


リライト前の世界からリライト後の世界へと遷移している最中で、不安定だから


というものです。




3・遷移の始まり


リライトという小説の作中は遷移している最中の世界である、ということを前述しましたが、なぜ遷移を始めたのでしょうか。

もちろん原因は友恵にあります。

1992年において未来で書かれる「時を翔ける少女」を読み、保彦を我が物にしようと計画を企て、同窓会で薬を飲んだためにリライトが成立してしまったからです。




ではもし、1992年で「時を翔ける少女」を読まなかったらどうなるでしょう。

友恵は他のクラスメートと同じように保彦と夏の物語を過ごし、未来へタイムリープし、2002年で友恵は1992年からやってくる過去の自分のためにに携帯電話を用意するでしょう。


つまり、リライト前の世界のまま進んでいきます。



ここではっきりしたことは、1992年で「時を翔ける少女」を読んだから世界が遷移し始めた、ということです。

作中では多くのパラドックスが発生していますが、すべてはこの行動から始まったと考えています。



しかし、これはありえないことです。

1992年に「時を翔ける少女」が存在できるのは、1992年で「時を翔ける少女」を読んだ、という事実がないと成立しないためです。

小説を読まないと、小説を過去に置きに行こうと思わないのです。



これについては次回、図を交えて考察していこうと思います。




リライトに限らず、時空物の作品はパラドックスが起きるから面白いのだと思います。

過去へ戻って何事もなく過ごして帰ってくるだけなら旅行と変わらないからです。

そのパラドックスをどうやって回避するか、またはどうやって矛盾なくまとめられるかが最大のポイントでもあります。










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タグ:リライト
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